前原山行会の紹介   平成5年1月

私たちの山の会は前原山行会という。名の通り小金井市在住の市民主体の山行活動で、今年で十一年目を迎える。殆ど経験のなかった中年の人達が今や自他ともに認める健脚揃いとなり、アルプス縦走も毎年こなして十周年記念登山は北海道の大雪山を目指している。会員約三十名で女性は三分の二を占めるが明大ワンゲルOBをリーダーに脚力のみならず自然認識も深まり相互親睦に果たす役割は大きいものがある。

この会誕生のいきさつを簡単に紹介したい。昭和587月、夏休みに入った前原小学校六年生担任の有志先生とPTAが相談をして思い切って雲取山(2017mに生徒と登ろうという話になった。それまでは行事として大菩薩登山が行われていたが、今回は卒業する子供たちに東京の最高峰登頂と言う大きな体験を得させたいという考えから秩父三峰口より奥多摩湖鴨沢までの一泊縦走コースと決まった。しかしこの計画では学校当局の公認が難しいだけに綿密な打ち合わせと実踏の末、親子四十数名の参加が決まった。大半が初心者であったがこれを六班に編成し班長には父親達が任じて好天の下、先生達と親子達の連帯登山は成功した。深い原生林の長大な尾根を子供達はまことに元気に、そして未経験の親達は懸命に登った。そして山頂では前小登山隊万歳を三唱し、皆して苦しみの後の喜びを分かち合ったのであった。

山行の後早速反省会が開かれ、山登りの味を知った出席者全員が新しい会の発足に賛同し、ここにお母さんを主体とする前原山行会が生れたという訳である。未経験の不安を抱えてスタートした大半のメンバーも経験豊かな実力者の下、着実な計画と実践により今やレベルは確実に向上した。当時の生徒達はもう社会人として活躍を始めているが子離れした親達はその後の十年名山のみに捉われない在るがままの自然を愛する姿勢を堅持して、以来、百山行を遙かに越えて皆いよいよ意気軒昂と言うところである。小金井市民の誇りと共に前原山行会をわが梁山泊として好きな山登りをずっと続けて行きたいと言う会員の結束は固く志は高い。同好の市民の参加を歓迎したい。

        雲取山親子合宿 レジュメ


懐かしのアルバム